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2015.02.27

Music Rainbow vol.5 ~1周年ありがとうスペシャル~

@新宿Marble

Reported by 蜂須賀ちなみ

2月27日、新宿Marbleにて『Music Rainbow vol.5 〜1周年ありがとうスペシャル〜』が開催された。昨年の同日、同じく新宿Marbleで始まった本イベントもこの日で1周年。

様々な色で構成され、各地で見ることができるものの、すぐに消えていってしまう虹のように、各地の様々な音楽を集め、その時その場所でしか奏でられない『音』『言葉』『空間』の素晴らしさを知ってもらいたい・出会ってもらいたい——

そんな想いの下に誕生した『Music Rainbow』。第5の夜、新宿Marbleにはどんな色の虹が架かったのだろうか。以下では、ストレルカ、the irony、Nina lovegood、GiGiによる熱演の模様をレポート! 

 

 

トップバッターはストレルカ。vol.2にも出演した彼らが『Music Rainbow』に帰ってきた。まず「ストレルカと申します。よろしくお願いします」と鈴木雄太(Dr)が挨拶。そのまま彼が4発叩いて、“君と僕とあの月”をスタートさせた。ゆらゆらと揺れる加藤康信(Gt)、歌詞を口ずさみながら演奏する久保田彰一(Ba/Gt)、頭を振り乱しながら叩く鈴木、まっすぐ一点を見つめながら唄う木村崇亮(Vo/Gt)。緩やかなテンポアップを経て“バイタルサイン”へ繋げれば間奏のセッションで熱を高めていく。3曲目“イメージトレーニング”のころには緊張気味だった4人の表情もやわらかくなり、音に身を任せるようにして体を動かしていた。フロアからのハンドクラップも彼らの演奏に彩りを添える。一言でいうと「ザ・ギターロック」、王道まっしぐらのサウンドと曲展開。そんな音楽性だからこそ、メンバーの感情や性格が演奏にダイレクトに反映されるし、その熱がオーディエンスに伝播していく様子が痛快だ。MCでは木村から、4月22日に初の全国流通盤『Tales』を発売すること、そのリリースパーティーとして4月27日にライヴを行うことが発表される。照れ隠しのような軽い調子で「全力でやるから全力で聴いてくれよっ。リードトラック心して聴けよっ」と言ってから“tale of mine”を披露だ。加藤がシンセサイザーを弾くという新たな試みもあったこの曲。最新曲でこの日メンバーがいちばん笑っていたことからバンドの風通しの良さを感じられたし、特に、たとえ裏返りそうになっても目一杯声を張って突っ切るという木村のヴォーカルは、自身を超え続けた果てのカタルシスそのもののようで感動的だった。そして“rainy”“虹”で「雨上がりの快晴」を描ききって終了。 

 

 

2組目the ironyの第一印象は「歌ものバンド」。様々な楽器の音が入り乱れるサウンドチェック中、「Wow〜♪」とウォーミングアップをする船津陽史(Vo/Gt)の声がどこまでも突き抜けていくサマにはライヴスタート前から驚かされたが、彼のみに留まらず、脇屋周平(Gt)と川崎嘉久(Ba)によるコーラスも演奏をより立体的にしてくれていたし、さらに各楽器の旋律やビートのなかに歌心があるのが良い(バラード曲“Hallelujah”ではそれが特に堪能できた)。1曲目“ヒカリ”を終えると「the ironyです、どうぞよろしく!」と船津が威勢よく挨拶して“明るい未来”へ。フロアの奥までしっかりと見渡す4人。ソロのたびにスレスレまで前へ出る脇屋、大きく振りかぶって叩く工藤伊織(Dr)、煽りまくる川崎に、「手拍子は頭の上でしてくんねぇかな!」とオーディエンスを焚き付ける船津——ハングリー精神を剥き出しにしながら、人をどんどん巻き込んでいく形で会場の熱を上げていく。「3組とも今日が初めての対バンなんですけど……初めてって、人って牽制しあうじゃない。俺、今日それがなくて」と語る船津は、Nina lovegoodヴォーカル・森山とわずか10分で仲良くなったのだそう。その話から「人との繋がりって大事で、それがないとステージの上に立つ意味すらないんじゃないかって思います」と繋げると、「1週間ライヴ漬けでもうヤダヤダ!って思うときもあるけど、みんながいるからいろいろな夜を越えられるし、また明日も頑張ろうと思えます」とファンへの感謝の気持ちを“軌跡”に託したのだった。そして「明るい未来があるんです、俺らにもアンタらにも!一緒に行きませんかマーブル!」(船津)と“sprout”でコール&レスポンスも起こしてフィニッシュ。

 

 

the irony・船津曰く「意見をズバズバ言いまくる」フロントマン率いるNina lovegood。サポートにギタリスト&ドラマーを迎え、この日唯一の5人編成だ。1曲目“雨上がり”から汗を散らしながら唄う森山僚太(Vo/Gt)をはじめ、まるで初っ端から全力疾走をキメるかのような5人。森山は【『人』『場所』『音楽』を繋げる】という本イベントのコンセプトに触れながら「あなたたちが僕らの音を聴けば繋がったということになるから、それがたくさんできればと思います」と宣言。バンドの中だと潰れてしまいがちなキーボードの音がハッキリとこちらの耳に届いてくるバランスで、かつ気合いと気概のほとばしるサウンド。印象としては「勢い」や「熱量」が先行しがちなバンドだけど、どうやらそれだけではなさそうだ。MCでは森山が奥田一馬(Ba/Cho)に対して「もっとハッキリ喋ってくんない?」と言うなど、あわやケンカ状態に。以前マジメにMCをしていたら「Ninaって怖いよね」と言われた経験があり、明るい人間だと分かってもらうためにフランクなMCにチェンジしたのだそう。斎藤太雅(Key)が奏でる和テイストの旋律とヴォーカルのメロディラインが絡み合う、この季節にピッタリのバラード“春が来るまでに”で前2曲とは異なる魅力を見せたあと、「ライヴハウスが誰かにとっての帰ってこられる場所、居場所であってほしい」という想いを森山が語り、「(自分が)バンドをやめたいと思っていた時期、たくさんの人に助けてもらったときに作った曲」=“Parade”へ。森山の絶唱も、溢れ出すバンドのサウンドも、この場にいる1人1人との繋がりを切に願うバンドだからこそ生み出せる輝きを宿していた。そして“Ditto.”で締めくくり、GiGiへバトンタッチ!

 

 

トリはGiGi(読み:ジジ)。藤田昂平(Vo)/長峯雄也(Gt)/櫻井正太(Ba)/小川拓未(Dr)はドラムの周りに集まって拳を合わせる。まず藤田が「全部の想いを乗せるので、全部は聞き取れないかもしれないけど、ひとつでも何かを感じてくれたら嬉しいです」と挨拶。“6”でスタートし、“NoisE scape”“Yu-Me”と続けた。『Music Rainbow vol.4』で藤田の弾き語りを観た筆者は、温かい歌を唄う爽やかなお兄さんだと思っていたが、このバンドで鳴らされるのは、もがき悩む心の中や何かを失ったときの痛みである。疾走溢れるサウンドの中、わざと声にえぐみを持たせる唄い方もあり、当時の印象を華麗に覆される。というか両方彼の「本当」だし、どちらからも目を逸らさない誠実さで以て4人が演奏していることがこのバンドの核のひとつだ。MCではvol.4出演時にフランクフルトを買えずに悔しかったというエピソードを藤田が披露、「(今日は)まだあります!」というスタッフの声に安堵する、という和やかな場面も。いろいろな場所で見られる綺麗なものであると同時に、すぐに消えてしまう儚さも併せ持つ虹のように「いい音楽のほとんどが誰の目にも留まらずに消えていく」と前置きをしつつ、本イベントに込められた主催者の想いに触れる藤田。「僕らもみんな(オーディエンス)みたいに音楽を楽しむことを忘れちゃいけない、と今日改めて思いました」とこの日の感想を述べたあと、「大事なものを忘れないために、思い出すキッカケがほしいと思って書いた曲」だという“懐凪”へ——誰の心の中にもあるであろう幼い頃の原風景を描いた歌詞が、温かくも物悲しいサウンドともに聴き手1人1人の胸の内に沁み込んだ。そして“未来”で本編を終えると、アンコールを求める手拍子に応えて再登場。長峯がこの日でGiGiを脱退することを改めてファンに報告すると、アンコールのラスト1曲まで、4人は笑顔を浮かべながら鳴らしきったのだった。

 

 

 

■ストレルカ

1.君と僕とあの月

2.バイタルサイン

3.イメージトレーニング

4.tale of mine

5.刹那

6.rainy

7.虹

 

■the irony

1.ヒカリ

2.明るい未来

3.クピドの誘惑

4.アンバランス

5.Hallelujah

6.軌跡

7.sprout

 

■Nina lovegood

1.雨上がり

2.End Roll

3.春が来る前に

4.Luna

5.Parade

6.Ditto.

 

■GiGi

1.6

2.NoisE scape

3.Yu-Me

4.サヨナラいつか

5.クリティカル

6.懐凪

7.チャイム

8.未来

EN.day

 

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