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2015.03.23

Music Rainbow vol.7 ~一輪の花束を~

@下北沢GARAGE

Reported by 蜂須賀ちなみ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■小宮章太郎(夕雲/TRUMAN)

 

2日目のトップバッターは小宮章太郎。6人編成のアコースティックバンド・夕雲&3ピースバンドTRUMANのヴォーカリスト、この日は弾き語りでの出演だった。1曲目「スーブニール」の途中、「小宮章太郎です、どうぞよろしく~」と軽快に挨拶。強めに入れられるカッティング、どこまでも伸びていきそうな歌声。地声だけではなくファルセットにも芯がある。「まだ4時なのにこんなに集まってくれて驚いてます」と言っていたものの緊張している様子もなく、ただただ音楽を楽しんでいる、気持ちよく演奏している姿が強く印象に残った。

 

1.スーブニール

2.夜汽車

3.十月

4.太陽と月

 

 

■LILI LIMIT

 

『Music Rainbow vol.4』以来、本イベントには2度目の出演となるLILI LIMIT。ミドルテンポのダンスナンバー「Girls like Chagall」、リズム隊の力強さと重厚なコーラスが印象的な新曲「at good mountain」など曲調は幅広いが、浮遊感と温かみが共存するサウンドが統一感を持たせてくれるし、その核を担っているのがJyumpei Makino(Gt/Vo)の歌声であること、歌を大事にしているバンドであることもよく伝わってくる。勢いで畳み掛ける!みたいな力技を遣わずに、曲の展開と複雑に絡み合う5人のサウンドで聴き手をワクワクさせてくれるような音楽の創り方はライヴの場でもよく光っていた。終盤のMCにて、「祖父が亡くなって一生分の涙を流したけどバンドで感情を戻している」という内容の話をしていたMakino。「RIP」冒頭の弾き語り、本当に素晴らしかった。

 

1.H.E.W

2.Girls like Chagall

3.Boys eat Noodle

4.at good mountain

5.RIP

 

 

■ヒトリルーム

 

急遽この日の出演が決まったというヒトリルームは、大阪を拠点に活動するシンガーソングライター・福原雅人によるソロプロジェクト。この日は文字通り「一人」での弾き語りスタイルだ。即興で唄ったという1曲目からバラードを3曲連続させ、透明感のある声を奮わせていく。しかしまた、ふとトーンを落としたときの丸みを帯びた歌声もとても良い。弾むリズムに乗っかった言葉遊びが楽しい「あとのあとのあと」、そして友人の結婚式で唄ったというラヴソング「タツルミキ」で終了。しっとりと聴かせるようなセットリストで聴き手一人ひとりに寄り添う演奏を見せてくれた。

 

1.即興

2.forest

3.花の名(BUMP OF CHICKEN カバー)

4.あとのあとのあと

5.タツルミキ

 

 

■polly

 

4番手は宇都宮出身のバンド・polly。サビのリフレインが強烈な印象を残す「雨の魔法が解けるまで」をはじめ、このバンドの曲は耳からなかなか離れない。ただキャッチーであるというだけではなくて、越雲龍馬(Vo/Gt)の歌、各楽器が奏でるメロディライン(密かに挟まれる和要素も面白い)の一つひとつが哀しみを漂わせながらも最後には柔らかく笑っているような、不思議な感じ。聴いている側としては心の痒い部分に手を伸ばされている気がして何だか忘れられない。優しく触れないと崩れて無くなってしまいそうなほど繊細な「歌」が集まってバンドの音になっている。この日のMCは短め。「今日は喋らなくてもいいコミュニケーションがとれてる気がする。一人ひとりと」と越雲が呟くと、オーディエンスの頭がいくつかコクンと頷いたのが見えた。

 

1.雨の魔法が解けるまで

2.アンハッピーエンド

3.アマツブニアカ

4.ボクの為だけのワルツ

5.ナイトダイビング

6.Loneliness

7.hello good bye

 

 

■She Her Her Hers

 

続いてステージに登場したのはShe Her Her Hers。前任ギタリストが2月に脱退したばかりの彼ら、この日はサポートメンバーを迎えての出演だ。松浦大樹(Dr)、とまそん(B)のリズム隊を軸にして、曲間を途切れさせずに一本の線で繋いでいくセットリスト前半のアレンジ。静寂と激動を巧みに用いながら進行していくサウンドのなかで平然と浮き上がるタカハシヒロヤス(Vo/Gt)の歌は、淡々とした調子のようでいて内なる熱を秘めている。歌詞の言葉遊びも面白い。この日ライヴ初披露だったという新曲(4曲目)は、音と音との隙間を強調させたようなリズムワークと、強弱の「弱」の方を大切にするような「抑制の美学」、そしてじんわりと明るい余韻が特徴的だった。

 

1.Vital

2.made

3.INITIALIZE

4.新曲

5.Sense of Wonder

6.tiny

7.brain-train

 

 

■藤田昂平(GiGi)

 

2日目ももう終盤。サブステージに登場した藤田昂平(GiGi)は、本イベント『Music Rainbow』3度目の出演。vol.5ではバンドでの出演だったが、この日はvol.4時と同じく弾き語りでの登場だ。自己紹介代わりに「カントリーロード」を唄ったあとはバンドでの曲を中心に披露。前月にはバンドメンバーが脱退、その出来事を経て過ごした時間について「一瞬一瞬を大事にしないと、と改めて思った1ヶ月でした」と語った藤田。目一杯張った声にも、ガシガシと強めなカッティングにも「あなたと向かい合っているうちに音楽の痕を刻みつけたい」という切実な願いの体現のようだった。

 

1.カントリーロード(カバー)

2.アスタリズム

3.あの夏

4.懐凪

5.201

6.ある日のこと

7.day

 

 

■TOKYOGUM

 

この日のラストを飾るのはTOKYOGUM 。長髪を振り乱しながらパワフルに楽器を叩きまくる藤本光太郎(Dr)。爆音と爆音の間を縫うように五線譜の中を上下しまくる鈴木ロウ(Ba)のベースライン。そして、鋭い声色で轟音を切り裂いたり、声量を抑えた状態ですら平然と存在感を放ったり、何だか掴み所のない舘洋介(Vo/Gt)。まさに三者三様。バンドを組んでいなければきっと交わらなかったであろう強烈な個性同士が、ぶつかり合い、砕き合い、ひとつのサウンドを生み出すカタルシスの凄まじさたるや。その圧倒的なサウンドスケープは明らかにこの下北沢GARAGEのハコには収まりきれていなくて。新曲を2曲含んだファンにも嬉しいセットリストで、トリにふさわしい大きなスケールの演奏を聴かせてくれたのだった。

 

1.腐海前

2.1992

3.青 (新曲)

4.ユース

5.PRAY SONG

6.ピアス (新曲)

7.かける鳥

EN.Domed

 

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